コウノメソッドで認知症に取り組んでいます

2013年(平成25年)5月11日、七尾市に、認知症の的確な病型診断と治療法であるコウノメソッドの創始者・河野和彦先生を迎え、医療者向け講演会を開催しました。

講演では座長を務め、地元・能登のみならず県内外から日頃から認知症治療に関わる多くの方々に足を運んでいただき、成功裏に終了することができました。

写真は、中央が河野先生、右端が当院院長・中村、他は石川県内のコウノメソッド実践医・実践薬剤師の方々です。

 



コウノメソッドによる認知症治療とは

註:ATD=アルツハイマー型認知症,DLB=レビー小体型認知症,FTLD=前頭側頭葉変性症
註:ATD=アルツハイマー型認知症,DLB=レビー小体型認知症,FTLD=前頭側頭葉変性症

 

コウノメソッドは名古屋フォレストクリニック院長・河野和彦先生が考案・実践されている認知症治療法で、「コウノメソッド」というのは「河野先生の治療法」という意味です。

 

コウノメソッドは、スコアリングによる的確な認知症病型の診断法と中核症状・周辺症状ともに高い改善率を示す治療法からなっています。私は201210月に大阪での講演会で初めてコウノメソッドを知り、すぐにコウノメソッド実践医の申込をしました。ペインクリニック治療と認知症の治療は全くの畑違いに思えるでしょうから、なぜペインクリニック医の私がコウノメソッドを行うようになったのか不思議に思う方もいらっしゃることでしょう。共通しているのは、どちらも診療の基本が「診断学的治療」だというところです。

 

コウノメソッドにおける治療は、①家庭天秤法(家族ないしは主たる介護者が患者さんの様子を見て薬物投与量を調節する)、②介護者保護主義(患者さんか家族か、どちらか一方しか助けられない場合は家族あるいは介護者の保護を優先する)そして③サプリメントの活用(現在推奨されているのは、グロービア社のフェルガード類とカイン社のプロルベインDRです)の3本柱からなっています。

 

私の最初の患者は、私の父でした。改訂長谷川式スコア、河野先生のアルツハイマースコア、レビースコア、ピックスコアの採点結果からレビー小体型認知症と診断し、レビーセットで治療し始めました。レビーの三種の神器であるリバスチグミンパッチ(ノバルティス社のイクセロンパッチと小野薬品工業のリバスタッチパッチがあります)、メネシット(MSD社製のレボドパ/カルビドパ水和物配合剤)、抑肝散(漢方エキス製剤)に加え、グロービア社のフェルガード100Mで、中核症状の改善、幻覚の消失、むせの低減、痩せの改善、穏やかさを得ることができました。2012年末/2013年始の帰宅時には、シチコリン注射1,000mgで、注入開始後すぐに目つきがしっかりするのも確認しました。

 

現在、老健(介護老人保健施設)に入所していますが、薬の処方について、苑長である主治医に理解してもらえないのが辛いところではあります。薬価の高い薬はまるめのため無理、これはいいとして、安くて古くからある薬は効果を信じられないと言って使いたがらない。それでいて、認知症やコウノメソッドについては勉強してくれない。本当に困ったものです。一時期体調を崩して薬を止めた時に、ピック化しかかりましたが、フェルガード100Mの再開で、現在は事なきを得ています。

 

コウノメソッドに則って治療する際に感じるのは、なにより安心です。毎週月曜日に更新されるブログは、症例の宝庫で、成功例はもとより失敗例も記載してあります。もし診断や治療のことで悩んだり迷ったりしても、河野先生に尋ねることができます。真夜中に明るく照らされた道を歩いて行く感じで、必ず目的地にたどり着けるんだ、あるいはたどり着くんだという気持ちにさせてくれるので、安心感が高じて楽しくなって来ます。この感覚は、医師に限らず、看護師さん、薬剤師さんといった医療スタッフ、ケアマネさんをはじめとした介護に従事する方々にも味わっていただけるものだと思います。

 

現在、ご家族やお知り合いが認知症で悩んでいる方には是非知っていただきたい治療法ですし、認知症治療をしているのに却って症状が悪化したように思われる方は、是非コウノメソッドの導入を検討されるべきです。